【2026年】AI研修の助成金申請|使える制度3選と申請の流れを5ステップで解説


この記事の要約と結論
AI研修はDX推進・リスキリング支援の対象として複数の助成金が活用可能。代表的なのは人材開発支援助成金の3コース「人材育成支援」「事業展開等リスキリング (最大75%助成)」「人への投資促進」。中小企業・大企業で助成率が異なるため、自社に最適な制度を選定する
申請は5ステップ (推進者選任→計画届提出→研修実施→支給申請→入金)。研修開始1ヶ月前までの計画届提出が絶対条件で、後出し申請は却下される。書類不備・要件未充足は不採択の主要因なので事前準備が鍵
注意点5つは「研修開始前申請が必須」「DX・新規事業展開に合致する研修内容」「勤務時間内OFF-JT実施」「申請期間中の解雇/退職推奨禁止」「効果測定と記録保管」。不明点は社労士や労働局相談コーナーへの確認が安全
AI研修を実施したくても、費用負担がネックになっている企業は多いのではないでしょうか。
厚生労働省の人材開発支援助成金を活用すれば、AI研修費用の最大75%をカバーできます。
本記事では、AI研修に使える助成金3選と申請の流れを5ステップで解説します。中小企業・大企業別のシミュレーションや申請時の注意点、よくある質問もまとめました。
助成金を活用してAI人材育成を進めたい企業担当者は、最後までご覧ください。

政府は、DX推進とリスキリング支援を国の重要政策に掲げています。ここでは、AI研修が助成対象になった背景と各制度の違いを解説します。
2022年11月にChatGPTが公開され、生成AIは急速に普及しました。業務効率化やイノベーション創出のツールとして、多くの企業が導入しています。一方で中小企業を中心に、育成コストが重荷で導入に踏み切れないケースも少なくありません。
政府はDX推進を国の重要課題に位置づけ、従業員のリスキリング支援に5年間で1兆円規模の予算を投じる方針です。
厚生労働省の人材開発支援助成金でもDX・AI関連研修が対象に加わっています。生成AIを学ぶプログラムも支給対象となり、企業は費用を抑えてAI人材育成に取り組めます。
AI研修の費用支援を調べると「助成金」「補助金」「給付金」の3つを目にする機会が多いはずです。名前は似ていますが、管轄省庁・財源・受給のしやすさは異なります。
<助成金・補助金・給付金の比較>
項目 | 助成金 | 補助金 | 給付金 |
|---|---|---|---|
管轄 | 厚生労働省 | 経済産業省・自治体 | 各省庁 |
財源 | 雇用保険料 | 税金 | 税金 |
種別 | 非競争型 | 競争型 | 条件型 |
対象 | 企業 | 企業 | 個人 |
申請期間 | 通年が多い | 1ヶ月程度 | 制度による |
助成金は、要件を満たせば原則もらえる制度です。補助金は、審査に落ちると受給できません。給付金は個人向けのため、企業は申請の対象外となります。
AI研修の費用を確実にカバーしたい企業には、厚生労働省の助成金がおすすめです。

AI研修に活用できる助成金は、主に3種類あります。ここでは、各コースの特徴と助成額を比較しながら紹介します。
<3コースの比較>
コース名 | 経費助成率(中小企業) | 特徴 |
|---|---|---|
人材育成支援コース | 45〜60% | 正社員・パート・有期契約社員が対象 |
事業展開等リスキリング支援コース | 最大75% | DX・GX推進に伴う研修が対象で、最も人気 |
人への投資促進コース | 75% | 高度デジタル人材育成向けで、企業要件あり |
人材育成支援コースは、業務に必要な知識やスキルを身につけるOFF-JTが対象です。OFF-JTとは、現場を離れて受講する研修を指します。企業は、訓練経費と受講期間中の賃金の一部を受給可能です。
正社員に加えて有期契約労働者やパートタイム労働者も対象に含まれます。全従業員にAI研修を実施したい企業におすすめですが、訓練時間は10時間以上が条件となります。
<人材育成支援コースの助成率・上限額(中小企業)>
項目 | 通常 | 賃金要件等を満たす場合 |
|---|---|---|
経費助成率(正規雇用者) | 45% | 60% |
賃金助成(1人1時間あたり) | 760円 | 960円 |
経費上限(10〜100時間未満) | 15万円 | 15万円 |
経費上限(100〜200時間未満) | 30万円 | 30万円 |
経費上限(200時間以上) | 50万円 | 50万円 |
年間上限(1事業所) | 1,000万円 | 1,000万円 |
3つのコースの中で最も助成率が高いのが、事業展開等リスキリング支援コースです。経費助成率は最大75%で、AI研修を検討する企業から人気を集めています。新規事業の立ち上げや、DX・GX推進のための訓練が対象となります。
生成AI研修はDX推進との関連性が認められやすく、申請が通りやすい傾向にあるでしょう。1事業所あたりの年間上限は1億円で、大規模な研修にも活用可能です。
<事業展開等リスキリング支援コースの助成率・上限額(中小企業)>
項目 | 助成内容 |
|---|---|
経費助成率 | 最大75% |
賃金助成(1人1時間あたり) | 960円 |
経費上限(10〜100時間未満) | 30万円 |
経費上限(100〜200時間未満) | 40万円 |
経費上限(200時間以上) | 50万円 |
年間上限(1事業所) | 1億円 |
本本コースは、令和8年度(2026年度)までの期間限定です。早めの活用を検討してみてください。
高度なデジタルスキルを持つ人材の育成には、人への投資促進コースが適しています。中小企業なら経費の75%を受け取れる点は、事業展開等リスキリング支援コースと同水準です。
ただし企業側には、以下いずれかの要件が求められます。
<主な条件>
<人への投資促進コースの助成率・上限額(中小企業)>
項目 | 助成内容 |
|---|---|
経費助成率 | 75% |
賃金助成(1人1時間あたり) | 960円 |
経費上限(10〜100時間未満) | 30万円 |
経費上限(100〜200時間未満) | 40万円 |
経費上限(200時間以上) | 50万円 |
年間上限(1事業所) | 2,500万円 |
要件を満たす企業にとっては、メリットの大きい制度でしょう。

助成金の受給額は企業規模や研修条件によって変わります。ここでは、中小企業・大企業別の実負担額と賃金要件による助成率の変動を紹介します。
事業展開等リスキリング支援コースを使い、以下の条件で計算してみました。
<試算条件>
<助成額の計算>
項目 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
経費助成 | 100万円×75% | 750,000円 |
賃金助成 | 10時間×20名×960円 | 192,000円 |
助成額合計 | ー | 942,000円 |
実質負担額 | 100万円−942,000円 | 58,000円 |
企業の実質負担は58,000円で、研修費用の約94%をカバーできます。経費助成には1人1訓練あたりの限度額があり、10〜100時間未満の中小企業は30万円が上限です。
大企業が同じ条件(20名・10時間・研修費用100万円)で計算すると、以下のようになります。
<助成額の計算>
項目 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
経費助成 | 100万円×60% | 600,000円 |
賃金助成 | 10時間×20名×480円 | 96,000円 |
助成額合計 | – | 696,000円 |
実質負担額 | 100万円−696,000円 | 304,000円 |
大企業の実質負担は304,000円で、研修費用の約70%をカバーできます。中小企業の58,000円より負担は増えますが、メリットは十分あるでしょう。なお、大企業の経費助成上限は10〜100時間未満で20万円です。
人材育成支援コースには、「賃金要件」という上乗せの仕組みがあります。企業が以下いずれかの条件を満たすと、助成率が上がります。
<賃金要件の条件>
<賃金要件を満たした場合の助成率(中小企業)>
項目 | 通常 | 賃金要件達成時 |
|---|---|---|
経費助成率 | 45% | 60% |
賃金助成(1人1時間) | 760円 | 960円 |
企業の受給額は賃金要件の達成で大きく変わります。研修計画と合わせて賃金改定も視野に入れておきましょう。また他の2コースには賃金要件がなく、助成率は一律となっています。

AI研修の助成金申請は、主に5つのステップで進めます。ここでは、社内準備から助成金入金までの流れを順を追って解説します。
助成金申請で最初にすべきことは、社内体制の整備です。企業は、まず「職業能力開発推進者」を選びます。
推進者は事業内職業能力開発計画の作成や従業員への相談・指導を担う存在です。労務・人事部門の部課長クラスが適任で、事業所ごとに1名以上が必要となります。
推進者を決めたら「事業内職業能力開発計画」を作成し、従業員へ周知しましょう。
<申請事業主の要件>
企業は、上記3点も事前に確認が必要です。
訓練実施計画届は、研修開始日の6ヶ月前から1ヶ月前までに管轄の労働局へ提出します。企業が期限を1日でも過ぎると助成金の対象外となるため、余裕を持って準備しましょう。
<提出方法>
企業は訓練実施計画届と研修内容がわかるカリキュラムなどを用意します。コースによって追加書類が必要な場合もあるため、厚生労働省の公式サイトをチェックしておきましょう。研修内容や日程を変更する場合は、変更届も提出しなければなりません。
計画届が労働局に受理されたら、研修を開始できます。企業は、承認された内容・日程・時間数どおりに研修を実施します。
<研修実施時の注意点>
企業は研修スケジュールを就業時間内に収めるよう調整してください。出席記録・受講履歴・研修資料は支給申請時の証明書類になるため、しっかり残しておきましょう。
研修が修了したら、企業は訓練終了日の翌日から2ヶ月以内に、支給申請書を労働局へ提出します。期限を過ぎると助成金を受給できなくなるため気をつけましょう。期限を過ぎると助成金を受給できなくなるため、気をつけましょう。
<主な提出書類>
コースによって、研修効果を示すレポートを求められる場合もあります。書類の不備や記載ミスは、審査遅延や不支給になりかねません。提出前に厚生労働省の公式パンフレットやチェックリストで、チェックしておきましょう。
企業が支給申請書を提出すると、労働局が審査に入ります。
<審査で確認される主な項目>
労働局は必要に応じて、追加書類の提出や実地調査を求める場合があります。審査を通過すると「支給決定通知書」が届き、指定口座へ助成金が振り込まれます。
申請から入金までは、4〜8ヶ月程度かかるのが一般的です。企業は助成金が届くまで、研修費用を立て替える必要があります。資金繰りに余裕を持たせた計画を、事前に立てておくとよいでしょう。

助成金申請に必要な書類は、計画届提出時と支給申請時で異なります。ここでは、各助成金申請に必要書類と書類不備で却下されやすいポイントを解説します。
企業は訓練実施計画届の提出時に、以下の書類を揃えます。
<計画届提出時の必要書類一覧>
書類名 | 種別 |
|---|---|
訓練実施計画届 | 必須 |
カリキュラム(訓練カリキュラム) | 必須 |
事業内職業能力開発計画 | 必須 |
職業能力開発推進者の選任を確認できる書類 | 必須 |
DX推進に関する事業計画書 | コースによる |
DX認定・DX推進指標の提出実績を示す書類 | コースによる |
企業が電子申請を利用する場合は、GビズIDプライムアカウントが必要です。未取得の場合は、早めに取得手続きを進めておくと安心です。必要書類はコースで異なるため、厚生労働省の各コースパンフレットをチェックしておきましょう。
計画届提出時よりも多くの書類が求められるのが、研修終了後の支給申請です。
<支給申請時の必要書類一覧>
書類名 | 用途 |
|---|---|
支給申請書 | 申請手続き |
訓練実施結果報告書 | 研修実施の証明 |
出席者名簿・受講記録 | 研修実施の証明 |
修了証明書 | 研修実施の証明 |
賃金台帳 | 賃金支払いの証明 |
給与明細書 | 賃金支払いの証明 |
出勤簿(タイムカード等) | 賃金支払いの証明 |
雇用契約書 | 雇用関係の証明 |
雇用保険被保険者資格取得等確認通知書 | 雇用関係の証明 |
必要書類は、コースや状況によって異なります。企業は管轄の労働局か、厚生労働省の公式パンフレットで事前に把握しておきましょう。
助成金申請では、書類不備による不支給や審査遅延は珍しくありません。
<却下されやすい主なポイント>
NG例 | リスク |
|---|---|
研修開始後に計画届を提出した | 救済措置なしで対象外 |
カリキュラムの記載が曖昧 | 対象外と判断される |
「AI研修」とだけ記載 | DX推進との関連性不明で却下 |
賃金台帳や出勤簿に不整合がある | 審査で問題視される |
支給申請期限(研修終了後2ヶ月以内)を超過 | 不支給となる |
最も多い失敗は、企業が研修開始後に計画届を出してしまうケースです。申請に不慣れな場合は、社会保険労務士などの専門家へ依頼するのも一つの方法です。

助成金申請には、事前に押さえておくべき注意点があります。ここでは、不支給を避けるために企業が確認すべき5つのポイントを解説します。
人材開発支援助成金では、研修開始前の計画届提出が必須です。企業は研修開始日の1ヶ月前までに、訓練実施計画届を管轄の労働局へ提出しなければなりません。研修開始後の申請は一切認められず、企業は費用を全額自己負担することになります。
AI研修を検討し始めたら、企業はまず助成金の申請スケジュールを把握しておきましょう。研修開始の2〜3ヶ月前から、準備を始めるのが目安となります。
企業が計画届提出後に研修内容や日程を変更する場合は、変更届の提出が求められます。
申請コースごとに、研修内容の要件が定められています。事業展開等リスキリング支援コースは、DX・GX推進や新規事業に必要なスキル習得が対象です。
<対象・対象外の研修例>
対象となる研修 | 対象外の研修 |
|---|---|
DX推進に関連するAI研修 | 一般的なITリテラシー向上研修 |
業務効率化を目的としたAI活用研修 | ビジネスマナー研修 |
新規事業に必要なスキル習得研修 | 趣味・教養目的の研修 |
企業がAI研修を申請する場合は、カリキュラムにDX推進や新規事業との関連性を明記しましょう。研修内容が要件に合っているか不明な場合は、管轄の労働局へ確認しておくと安心です。
助成金を受けるには、勤務時間内にOFF-JT形式で研修を行う必要があります。企業が残業時間帯や休日に研修を実施しても、賃金助成は受けられません。
<研修形式の対象・対象外>
対象となる形式 | 対象外の形式 |
|---|---|
勤務時間内の研修 | 勤務時間外の研修 |
OFF-JT(職場外訓練) | OJTのみの研修 |
対面・オンライン・eラーニング | – |
上司や先輩が業務中に指導するOJTのみでは、企業は助成金を申請できません。企業は研修スケジュールを就業時間内に収め、出席記録をきちんと残しておきましょう。
受給要件のひとつに、訓練期間中の解雇・退職推奨の禁止があります。企業が違反すると助成金は不支給となり、受給済みの場合は返還を求められることもあります。
企業に労働関係法令への違反があると、助成金の対象外です。企業は、申請前に労務管理体制を確認しておきましょう。
<申請前に確認すべき労務管理項目>
助成金申請は、労務管理を見直す良いタイミングです。企業は、社内体制の整備も併せて進めておきましょう。
研修の効果測定と記録は、支給申請時の重要な証拠書類となります。
<研修中に保管すべき書類>
企業が賃金要件を活用して助成率の上乗せを狙う場合は、訓練前後の賃金比較書類も必要です。
効果測定の記録は、助成金申請だけでなく経営層への報告にも使えます。企業は業務時間の変化や業務品質の向上を、数値と実感の両面で記録しておきましょう。

AI研修の助成金申請について、企業担当者からよく寄せられる質問をまとめました。ここでは、対象となる研修形式や従業員の範囲、相談先などを紹介します。
オンライン研修やeラーニングでも、助成金の対象となります。
条件は勤務時間内のOFF-JT形式で、10時間以上の研修であることです。eラーニングでは、企業は受講ログや進捗管理の記録を証明書類として提出しなければなりません。
自己学習型や勤務時間外の学習は対象外となる場合があるため、企業は事前に労働局へ確認してください。
パートや有期契約社員も、人材育成支援コースなら助成を受けられます。対象者が雇用保険の被保険者であることが、条件です。
<雇用保険の加入要件>
非正規雇用者への訓練には、正規雇用者より高い助成率が設定される場合もあります。人材育成支援コースでは経費助成率60%、賃金助成960円です。
正規雇用者のみが、対象のコースもあります。企業は申請前に、各コースの要件を確認しておきましょう。
IT導入補助金やものづくり補助金では、研修単独の費用補助は受けられません。IT導入補助金はITツールの導入支援が目的のため、研修のみでは申請できません。
ただし企業がITツールを導入する際、付随する操作研修は補助対象になる場合があります。ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金も、同じ扱いです。
企業がAI研修の費用支援を確実に受けたい場合は、人材開発支援助成金が向いています。要件を満たせば、企業は原則受給できます。
申請手続きに不安があれば、社会保険労務士に相談するのが安心です。社労士はコース選定から書類作成、労働局とのやり取りまで代行してくれます。企業は手数料を支払いますが、申請ミスや期限超過のリスクを減らせます。
<主な相談先>
AI研修を提供する事業者の中には、提携社労士が申請をサポートするケースもあります。企業は、研修会社を選ぶ際にチェックしてみてください。

AI研修には人材開発支援助成金の3つのコースが活用でき、中でも事業展開等リスキリング支援コースは最大75%の助成率で人気です。
ただし本コースは2026年度までの期間限定のため、早めの申請準備が重要となります。助成金の申請には、まず職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定が必要です。
本記事を参考に、助成金を活用したAI研修の導入を検討してみてください。

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