AIスロップ(AI slop)とは?意味・具体例・増えた理由と見分け方【2026年】
この記事の要約と結論
AIスロップは、生成AIで大量に作られた低品質なコンテンツのことで、2025年に米英語圏の辞書の「今年の言葉」に選ばれました
動画・画像・記事・書籍に加え、職場の資料(ワークスロップ)にも広がり、偽情報やAIの性能低下(モデル崩壊)にもつながります
YouTubeやGoogleは、AIの利用ではなく「量産されただけのコンテンツ」を規制しています
AIを使うときは出力をそのまま出さず、事実確認と自分の考えを加えることが大切です
SNSやYouTubeで、どこか不自然なAI画像や、中身のない量産動画を見かけることが増えていませんか。こうした「生成AIで大量に作られた低品質なコンテンツ」は、英語圏で「AI slop(AIスロップ)」と呼ばれています。
AIスロップは、2025年に米国の辞書メリアム・ウェブスターと、オーストラリアのマッコーリー辞典の「今年の言葉」に選ばれました。生成AIの普及とともに、ネット全体の問題として注目されている言葉です。
本記事では、AIスロップの意味と語源、具体例、増えた理由、引き起こす問題、各プラットフォームの対策を解説します。さらに、AIスロップを見分けるコツと、自分が「作る側」にならないためのポイントも紹介します。
AIスロップ(AI slop)とは?

AIスロップとは、生成AIによって大量に作られた、質の低いデジタルコンテンツのことです。画像・動画・文章・音楽など、形式を問わず使われます。
ここでは、AIスロップの意味・語源・広まった経緯を順番に解説します。
意味:生成AIで大量に作られた低品質なコンテンツ
AIスロップの特徴は、「AIで作られている」ことそのものではなく、誰の役にも立たないまま、量だけが作られている点にあります。主な特徴は以下のとおりです。
- 手間をかけずに、短時間で大量に作られている
- 誤りや不自然な点が残ったまま公開されている
- 読み手・見る人の役に立つことより、再生数や広告収入が目的になっている
- 見る人が求めていないのに、タイムラインや検索結果に流れてくる
生成AIを使っていても、人が企画し、事実を確かめ、編集したコンテンツはAIスロップとは呼ばれません。AIスロップは「AIで作ったもの」全般ではなく、「AIで雑に量産されたもの」を指す言葉です。
「slop」の元の意味は「残飯・家畜のエサ」
英語の「slop」は、もともと豚などの家畜に与える残飯や、水っぽくてまずい食べ物を指す言葉です。そこから「価値の低いもの」「粗末なもの」という意味でも使われてきました。
この「slop」にAIを組み合わせたのが「AI slop」です。迷惑メールを「spam(スパム)」と呼ぶように、求めていないのに大量に流れてくるAI生成物を、皮肉を込めて呼ぶ言葉として広まりました。
2025年に「今年の言葉」に選ばれた
AIスロップは、2024年ごろから英語圏のネット上で使われ始め、2025年には辞書が選ぶ「今年の言葉」になりました。
辞書 | 選ばれた言葉 | 発表 | 辞書による定義(要約) |
|---|---|---|---|
マッコーリー辞典(オーストラリア) | AI slop | 2025年11月 | 生成AIが作った低品質なコンテンツで、誤りを含むことが多く、利用者が求めていないもの |
メリアム・ウェブスター(米国) | slop | 2025年12月 | 主にAIによって大量に作られる、低品質なデジタルコンテンツ |
※出典:Euronews(メリアム・ウェブスターの発表)、The Nightly(マッコーリー辞典の発表)
辞書が選んだということは、AIスロップが一部のネットスラングではなく、多くの人が日常的に目にする現象になったことを示しています。日本でも、AIで作られた動画や画像がSNSで話題になる機会が増え、「AIスロップ」という言葉の検索が伸びています。
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AIスロップは、ネットのあらゆる場所に広がっています。ここでは、代表的な5つの例を紹介します。
1. SNS・YouTubeの量産AI動画
最も目にする機会が多いのが、動画のAIスロップです。AIで作った映像に、AI音声のナレーションを付けただけの動画が、ショート動画を中心に大量に投稿されています。
例えば、以下のような動画が代表的です。
- ありえない動きをする動物や赤ちゃんの映像
- テンプレートに沿って量産された「雑学」「怖い話」「偉人の名言」系の動画
- 実在しない事件や災害を、本物のように見せる映像
2. SNSに流れる不自然なAI画像
FacebookやX(旧Twitter)などのSNSでは、感動や驚きを誘うAI画像が大量に投稿されています。反応を集めてアカウントを育て、広告や別の目的に使う手口もあります。
指の数がおかしい、文字が崩れているなど、よく見ると不自然な点が残っている画像も少なくありません。AI画像の見分け方は、後ほど簡単に紹介します。
3. 検索結果に出てくる中身のない量産記事
AIで大量に作られたWebサイトや記事も、AIスロップの一種です。どこかで見たような一般論だけが並び、具体的な情報や体験が書かれていない記事がその典型です。
事実確認がされていないため、存在しない制度や、古い料金などの誤った情報が書かれている場合もあります。
4. 通販サイトに並ぶAI生成の本
電子書籍の通販サイトでは、AIで書かれたと見られる本が大量に出品されています。人気の本と似たタイトルを付けた本や、内容の薄いハウツー本などが、利用者の不満を集めています。
5. 職場に回ってくる「ワークスロップ」
AIスロップは、ネットの中だけの話ではありません。職場では、見た目は整っているのに中身が伴わないAI生成の資料やメールが「ワークスロップ(workslop)」と呼ばれ、問題になっています。
米国のBetterUp LabsとスタンフォードSocial Media Labが2025年9月に行った調査(米国のデスクワーカー1,150人が対象)では、以下の結果が出ています。
- 約4割の人が、直近1ヶ月にワークスロップを受け取ったと回答
- 受け取った仕事の約15%がワークスロップだと感じている
- 1件の対応に平均で約2時間かかっている
- 受け取った人の約半数が、送ってきた相手を「能力や信頼性が低い」と感じた
※出典:BetterUp「The hidden costs of workslop」
AIで作った資料をそのまま渡すと、受け取った側が直す手間を負うことになります。AIを使う人が増えるほど、自分がワークスロップを作っていないかを意識する必要があるといえるでしょう。
AIスロップが増えた3つの理由

AIスロップが急に増えた背景には、技術とお金の両面の理由があります。ここでは、主な3つの理由を解説します。
1. 作るためのコストがほぼゼロになった
生成AIの登場で、文章・画像・動画・音声を、誰でも数秒〜数分で作れるようになりました。以前は1本作るのに数時間かかったコンテンツも、今は1日に数十本作れます。
作るコストが下がったことで、「質を上げる」より「数を出す」ほうが得になる状況が生まれました。
2. 再生数や広告収入で稼げる仕組みがある
SNSや動画サイトでは、再生数や表示回数に応じて収益が入る仕組みがあります。中身が薄くても、大量に投稿すれば一部が当たり、収益が出ることがあります。
ネット上には「AIで動画を量産して稼ぐ」といったノウハウも出回っており、量産を後押ししています。
3. おすすめ表示のアルゴリズムが反応を優先する
SNSのおすすめ表示は、多くの場合、驚き・感動・怒りなどの反応が集まる投稿を優先して表示します。AIスロップは、この反応を引き出すように作られているため、本人が探していなくてもタイムラインに流れてきます。
AIスロップが引き起こす4つの問題

AIスロップは「見ていて不快」というだけでなく、社会やAIそのものにも影響を与えます。ここでは、主な4つの問題を紹介します。
1. 必要な情報が探しにくくなる
検索結果やSNSがAIスロップで埋まると、信頼できる情報や、本当に役立つ情報にたどり着くまでに時間がかかります。調べものをする人にとっては、情報を見極める負担が増えることになります。
2. 偽情報やなりすましに使われる
AIスロップの中には、実在しない事件の映像や、著名人になりすました偽の広告なども含まれます。本物と見分けがつきにくいため、詐欺や誤った情報の拡散につながるおそれがあります。
3. AIの性能が落ちる「モデル崩壊」
生成AIは、ネット上の大量のデータを学習して作られています。ネット上のAI生成物が増えると、AIがAIの作ったデータを学習し、出力の質や多様性が落ちていくおそれがあります。この現象は「モデル崩壊(model collapse)」と呼ばれます。
2024年には、AIが生成したデータで学習をくり返すと、モデルの出力がしだいに偏り、崩れていくことを示した研究が、科学誌『Nature』に掲載されました。
※出典:Nature「AI models collapse when trained on recursively generated data」(2024年)
4. 「ネットは人間ではなくボットだらけ」という不信感
AIが作った投稿に、AIのアカウントが反応する場面も増えています。そのため、「ネット上の投稿の多くはボットによるもので、人間の発信はわずかしかない」とする「デッドインターネット理論」が、改めて話題になっています。
デッドインターネット理論は、もともと根拠のない陰謀論として語られてきた説です。ただ、AIスロップの広がりによって、ネット上の投稿や反応を「本物の人間のもの」と信じにくくなっているのは確かでしょう。
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AIスロップが増えるなか、動画サイトや検索エンジンも対策を進めています。ここでは、主な3つの取り組みを紹介します。
YouTube:量産型のAI動画を収益化の対象外に
YouTubeは、2025年7月に収益化の規定のうち「繰り返しの多いコンテンツ」の名称を「独自性のないコンテンツ(inauthentic content)」に変更しました。さらに、2026年7月16日には、収益化できないコンテンツを以下の3つに整理しています。
- テンプレートに沿って量産された、変化や独自性がほとんどない動画
- 動物が苦しむ場面など、見る人の感情をあおる不快な動画
- AIで作った人物に、お金・法律・健康などの話題を語らせる動画
これらの動画が多いチャンネルは、YouTubeパートナープログラム(収益化)の対象から外れます。YouTubeはAIの利用そのものを禁止しているわけではなく、「量産されただけの動画」を収益化の対象外にしています。
※出典:TechCrunch「YouTube clarifies policies around AI slop and upsetting videos」
収益化できないAI動画の具体例や、AI使用の開示ルールは、YouTubeのAI動画は収益化できる?2026年の規制と収益化できない4つのパターンで詳しく解説しています。
Google検索:大量生成コンテンツをスパムとして扱う
Googleは、2024年3月に検索のスパムポリシーを更新し、「大量生成されたコンテンツの不正使用(scaled content abuse)」を対象に加えました。検索順位を操作する目的で、価値の低いページを大量に作る行為がスパムとして扱われます。
なお、Googleは「AIを使ったかどうか」ではなく、「利用者の役に立つかどうか」でコンテンツを評価するとしています。
※出典:Google検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」
AI生成であることを示すラベルや透かし
AIで作ったコンテンツを見分けやすくする仕組みも広がっています。主な仕組みは以下のとおりです。
- C2PA(コンテンツクレデンシャル):画像や動画のデータに、作られた経緯(AIで生成したかどうかなど)を記録する国際的な規格
- SynthID:Google DeepMindが開発した、AI生成物に目に見えない透かしを埋め込む技術
- 各SNSのAIラベル:YouTube・TikTok・Instagramなどが、AIで作られた内容に表示するラベル
ただし、ラベルや透かしは、スクリーンショットや加工で消えたり、付け忘れたりすることもあります。ラベルがないからといって、人が作ったものとは限らない点に注意が必要です。
AIスロップを見分ける5つのチェックポイント

AIスロップを完全に見分けることは難しいものの、いくつかの点を確認すれば、だまされる可能性を下げられます。ここでは、文章・画像・動画に共通する5つのチェックポイントを紹介します。
- 発信者を確認する:投稿したアカウントの過去の投稿・作成日・プロフィールに不自然な点はないか
- 出典を確認する:数字や出来事に、元の情報(公式発表・報道など)が示されているか
- 細部を見る:画像の指・文字・背景、動画の口の動きや物の動きに不自然な点はないか
- 具体性を見る:文章に、体験・固有名詞・日付などの具体的な情報があるか
- 感情をあおっていないか考える:驚き・怒り・感動を強く誘う内容ほど、一度立ち止まって確認する
判定ツールを使う方法もありますが、AIの判定ツールは、人が書いた文章をAIと判定するなどの誤りが起きることがあります。ツールの結果だけで判断せず、発信者と出典の確認を組み合わせることが大切です。
文章・画像・動画ごとの詳しい見分け方は、以下の記事で解説しています。
AIスロップを「作る側」にならないための4つのポイント

生成AIを使う人が増えた今、誰でも気づかないうちにAIスロップを作ってしまう可能性があります。ここでは、AIを使って文章・画像・資料を作るときに意識したい4つのポイントを紹介します。
1. AIの出力をそのまま公開・提出しない
AIの出力は、あくまで下書きとして扱いましょう。読み手が誰で、何を知りたいのかを考え、不要な部分を削り、足りない部分を自分で補うことが大切です。
2. 事実と数字は必ず元の情報で確かめる
生成AIは、もっともらしい誤り(ハルシネーション)を出力することがあります。料金・日付・統計・固有名詞などは、公式サイトや一次情報で必ず確認しましょう。
3. 自分の経験や考えを加える
AIが書けるのは、ネット上にすでにある情報の組み合わせです。自分が実際に試した結果や、仕事で得た知見を加えることで、ほかにはない価値のあるコンテンツになります。
4. AIの正しい使い方を学ぶ
AIスロップとAIを使った良いコンテンツの差は、使う人のスキルで決まります。プロンプトの工夫、出力の確認方法、著作権や情報漏えいへの注意など、AIを「使いこなす」ための知識を身につけると、AIスロップを作らずに成果を出せるようになります。
独学に不安がある場合は、生成AIの使い方を体系的に学べるスクールを利用する方法もあります。料金や学べる内容は、生成AIスクールおすすめ49選で比較できます。
AIスロップに関するよくある質問

AIで作ったコンテンツは、すべてAIスロップですか?
すべてではありません。AIスロップは、AIで「雑に量産された」低品質なコンテンツを指す言葉です。人が企画し、事実を確認し、編集を加えたコンテンツは、AIを使っていてもAIスロップとは呼ばれません。
AIスロップを作ったり投稿したりするのは違法ですか?
AIスロップであること自体は、違法ではありません。ただし、他人の著作物をまねた内容、実在の人物になりすました内容、偽の情報で人をだます内容などは、著作権侵害や詐欺などの法律に触れるおそれがあります。また、YouTubeなどの規約に違反すると、収益化の停止やアカウントの削除の対象になります。
AIスロップは日本語で何と言いますか?
定着した日本語訳はまだなく、「AIスロップ」とカタカナで表記されることが一般的です。意味を伝える場合は「AIで量産された低品質コンテンツ」「AI粗悪コンテンツ」などと説明されます。
AIスロップをタイムラインに表示させないことはできますか?
完全に防ぐことは難しいものの、AIスロップを投稿するアカウントをブロックやミュートにしたり、「興味なし」を選んだりすると、表示を減らせます。反応(いいね・コメント・シェア)をすると、似た投稿が表示されやすくなるため、反応しないことも有効です。
まとめ

AIスロップのポイントは、以下のとおりです。
- AIスロップは、生成AIで大量に作られた低品質なコンテンツのこと
- 2025年にメリアム・ウェブスターとマッコーリー辞典の「今年の言葉」に選ばれた
- 動画・画像・記事・書籍に加え、職場の資料(ワークスロップ)にも広がっている
- 情報の探しにくさ、偽情報、AIの性能低下(モデル崩壊)などの問題につながる
- YouTubeやGoogleは、AIの利用ではなく「量産されただけのコンテンツ」を規制している
AIスロップを避けるには、発信者と出典を確認する習慣が大切です。そして、AIを使うときは出力をそのまま出さず、事実を確かめ、自分の考えを加えることで、AIスロップではない「価値のあるコンテンツ」を作れるようになります。
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